植村直己

提供 文芸春秋 撮影 植村直己

 

提供 文芸春秋 撮影 安藤幹久

 

提供 文芸春秋 撮影 安藤幹久 

 

昭和期の登山家・冒険家。兵庫県日高町上郷に生まれる。明治大学農学部入学と同時に山岳部にはいり、本格的な登山をはじめる。卒業後の1966年(昭和41)にヨーロッパ最高峰のモン・ブラン、マッターホルン、アフリカ最高峰のキリマンジャロ、ついで68年には南アメリカ最高峰のアコンカグアの単独登頂に成功、世界的なアルピニストの仲間入りをした。
さらに1970年には世界最高峰チョモランマの登頂につづいて、北アメリカ最高峰マッキンリーに単独で登頂、世界五大陸の最高峰征服を果たした。翌年の日本縦断徒歩旅行以後、冒険の場を極地にひろげ、74年には北極圏1万2000kmの単独犬ゾリ行、78年には北極点到達、グリーンランド縦断を実現し、世界に冒険家ウエムラの名を印象づけた。
1984年2月12日、43歳の誕生日にマッキンリー冬期単独登頂に世界ではじめて成功したが、その下山中、16日に捜索機に手をふってこたえたのを最後に消息を絶った。南極大陸3000kmの単独横断と、同大陸最高峰ビンソン登頂の夢はフォークランド紛争(1982)のため果たせなかったが、冒険家にふさわしい最期だった。
著書に「極北に駆ける」「エベレストを越えて」など。1979年にイギリスのバラー・イン・スポーツ賞、84年4月に国民栄誉賞を受賞。96年(平成8)、植村の出身地である日高町は冒険にいどむ個人・団体を対象とした植村直己賞を創設した。

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